無理難題の現場で「No!」をやめたら、仕事が楽になり、顧客に感謝され、ボーナスまでアップしちゃった話

コーチング実践体験記

顧客・他の部署からの依頼を、現場をよく分かっていない上司が独断で引き受け、尻ぬぐいは現場である部下であるあなたの仕事…。

他にも、どう考えてもあり得ない無理難題をつきつけられたり、断りづらい状況にあるとき…「No!」と突き返す代わりに、このような悩みを簡単に解決できる方法があれば、知りたいですか?

私は、タナカミノルさんの音声コーチングで学んだことを実践することで、相手が決して気分を害することなく、納得したうえで、私の意に沿った要求を喜んで受け入れてくれるようになりました。

その結果、現場のわたしたちも無理やり案件を引き受けさせられて、労働時間が増えたり、既存のプライオリティの変更などの労力を割く必要が大幅に減りました。

さらに高収益の旗艦(きかん)プロジェクトを任され、上司や同僚、そしてクライアントの笑顔にも囲まれ、おまけにボーナスアップ!という成果を手に入れることができました

その時に使った方法をこの記事でお伝えしたいと思います。

 

Noとハッキリ言える日本人はカッコいいという思い込み

幼少期から反抗的な天邪鬼で、一匹狼のサイコパス

幼少期から私は人と違うことをしたり、違う意見をもつことに、どういうわけか快感を覚えていました。

自己主張を通して、他人からの要求にNoと言えるのが「かっこいい」と感じていたのでしょう。

周りは、日本の年功序列の社会に適合できるかとても心配していましたが、私はラッキーでした。

それは相場を張って、結果を出せば若くても認められる外資系証券のトレーダーという職業に巡り会えたからです。

「短期的なわかりやすい正解」を追い求めた外資系証券トレーダー時代

相場は、短期的に「上がる」「下がる」「横這い」というわかりやすい答えが誰の目にも明らかな世界です。

誰か他の市場参加者と意見が対立した時に、相手を否定して、自分の主張を貫いたとしても、結果さえ出せば認められ、どんどん発言権や責任が増える世界です。

実は世の中のほんの一部でしか通用しない世界観であることに当時の私は気付かなかったのです。

自分のやり方を無理やり押し付ける上司とは、真っ向から対立し、そのたびに会社を転々としました。

そんなとき、勤務先の投資銀行のロンドン・オフィスから、トレーディングの実戦経験を持つデータ・サイエンティストとして、チームに参加してほしいというオファーをもらったのです。

 

アルゴリズム取引のコンサルタントに転職して味わった苦悩と葛藤

データ・サイエンティストとしての役割では、顧客の属性や目的によって、最適な戦略も戦術もさまざまで、相場を当てることのように短期的な分かりやすい正解がありません。

顧客の無理難題とも思える要望に対して、ほぼ全員博士号ホルダーで理論面重視のチームのアプローチと自分の考えが異なったときに、どのようにプロジェクトを進めていくか、コミュニケーションで悪戦苦闘することになったのです。

 

「ジェームス・ボンド」似で英国紳士の上司が、最も大切にしていた「意外」なビジネス・コミュニケーションの極意とは?

相手の気分を害さずに「建設的に反論」するスキル

そんな困ったときに、いつも真摯にサポートしてくれたのは、私をチームに採用してくれた英国人上司でした。

ジェームズ・ボンド役のダニエル・クレイグ似で、トライアスロンの世界チャンピオンでもある彼は、世界中の顧客から厚い信頼を集めていました。

そんな上司に「最も重要なビジネス・コミュニケーションの要諦は何か?」と聞いたことがあるのですが、とても意外な答えが返ってきて衝撃を受けたのを今でも覚えています。

それは、

The art of constructive disagreeing

つまり、相手の気分を害さずに、いかに「建設的に反論」するかというスキルだと言うのです。

映画などで見る欧米のビジネスマンは、相手を激しく批判しながら説得して、自分の意見を強引に咽ませるという印象があります。

でも実際は真逆で、上司は

「クライアントを批判しない。業務の守備範囲内であれば、どんな要求に対しても決してNoといわずに、話を詳しく聞く」

というモットーを貫いていました。

Noということの大きなデメリット

考えてみれば、チームの顧客は数十兆円規模の金融資産を運用している巨大年金基金やグローバル・ファンドで、世界中に彼らと取引したい金融機関は無数に存在します。

中にはわざと無理難題をふっかけて、問題解決へ至るためのアプローチの質を見ながら、取引する価値のある優秀なアドバイザーを選別している顧客もいます。

ただでさえ競争が厳しいのに、Noということは、顧客から全く相手にされないことを意味しています。

それだけでなく、脳のメカニズム上、Noと言った瞬間に現状維持のバイアスで、自分の視野が狭まり、思考停止に陥ってしまうのです。

さらに相手の基準で考えることに同意して、相手に主導権を渡してしまうことになるのです。

ビジネスで主導権を失うことは、相手の言いなりになるのと同義であり致命的です。

 

「Yes and」戦略とは?

反対に「もしこういう条件ならYesです」と、Yesを前提にどんな条件が加われば実行に移すか常に考える「Yes and」戦略をもつことにより、以下のような大きなメリットを享受できます。

  • 相手に選ばせることで、説得の必要がない。主導権を握ることができる
  • 現状維持ではなく、自分の現状を超えていくためのインプットとして物事を受け取ることができる
  • 相手の意図など確認しようがないものをあれこれ悩まずに済み、周りからの反応に対してリラックスしていられる

この「Yes and」戦略は、タナカミノルさんのコーチングプログラムでも紹介されていました。

元は発想や思考するためのツールとして使われることが多いのですが、早速これをビジネスの現場に取り入れてみました。

 

Noと決して言わずに、クライアントの難題を解決する地球人になるための実践記

そこで、会社の上司、同僚とのコミュニケーションから、相手を攻めたり否定することはもとより、NoやButなどの逆説ワードを一切排除するよう努力し、Yes andで置き換えたら、どのように変化するか検証してみることにしました。

 

感情は100% Yes!で受け止める

たとえ相手の要求が不当で、不快な思いをしても、自分も他人も「感情は100% Yes!」と言う前提で、受け止めることを習慣化しました。

ちょうどリモートワークを会社が始めた時期だったことも幸いし、メールやミーティングなどで怒りを感じても、直後に一旦感情を思う存分声に出して消化して、スッキリするようにしました。

そのあと「でも相手もきっと、わざと私を怒らせようとしたわけではなくて、あんなこんな背景があってこういう行動に出たのかもしれない」というように、俯瞰して対応することができるようになりました。

冷静になった後、「Yes and」「どのような条件ならばYesと言えるか」というところを考えることで、相手が納得してもらいやすくなりました。

そのため、説得する必要がなくなり、目には見えませんが「主導権」を常に保持できるようになったのです。

 

組織間の板挟みになる状況下で、Yes andを最大限活用するためのとっておきのヒミツ

ただ現実世界では上司が、顧客や他の部署から

(case 1)相談もなしに過度の約束をしてしまった案件、あるいは
(case 2)現場が最適だと考えているのとは違う手法などをもとにした案件

などを引き受けることになると、実態はもっと複雑になります。

なぜなら、条件のハードルを下げればYes、あるいは現場が最適だと考えている手法でやるならYesだったとしても、

顧客に、それ相応の納得できる詳細な根拠を提示しなければ、それを受け入れてもらうのは難しいでしょう。

しかも顧客に対して、あなたの上司は現場とのコミュニケーションがよく取れていないという悪い印象を与えてしまう可能性が高いです。

この場合の「顧客」とは、「他の部署」にも当てはまります。

結局にっちもさっちもいかず、こういった案件を最終的に無理やり引き受けさせられて、あなたも苦労した経験があるのではないでしょうか?

 

その時の対応として。。。

ステップ1. まず、その要求されている案件のゴールを確認。

ステップ2. その案件を実行するという仮定の下で、ゴールから逆算して実行計画を立ててみる。

具体的には、細かく一口サイズにタスクをブレークダウンして、マイル・ストーンを設定し、それぞれのマイル・ストーンをクリアするための障害もリストアップする。

ステップ3. 立てた計画書と、予想される障害の内容をもとに、上司と相談して、

(case1)なら、どれくらいハードルを下げてまずテストの案件を引き受けるかきめ、計画書とともに顧客と交渉する。

(case2)なら、まず現場が最適と思われる手法Bの優位性を示す根拠を準備し、現在の手法Aでどの段階まで引き受けて、どのタイミングで手法Bに切り替えるか決め、これらすべてを顧客に提示して、交渉する。

という解決策を使っていました。

つまり最重要ポイントは、まず現在の案件を引き受けるという「Yes」の前提で、ある程度詳細なプランを立てるところにあります。

そして、その詳細な計画書に基づいて
「実はこんな予想外の障害を発見しました!」、あるいは
「もっとよい手法がみつかりました!」

というストーリーにすると、

「それならば致し方ないかな」ということで、プラン変更に対して、顧客も上司も痛みが最小限になるように丸く収まる可能性がほぼ100%でした。

もちろん、わたしたち現場でのメリットも計り知れないものになりました。

無理やり案件を引き受けさせられて、労働時間が増えたり、既存のプライオリティの変更などの労力を防げることにつながったからです。

さらに顧客からも、そして上司や他部署のマネジメントからも自然に信頼されるようになり、もはや会社の中で不可欠な、「抜きん出た」存在として認知されるようになったのです。

 

ミッション・インポッシブルがミッション・ポッシブルへ

このように会社の業務において

  • 相手と自分の感情は100% Yes!で受け止める
  • NoやButなどの逆説ワードを一切排除しYes andにおきかえる
  • 組織間で意見が対立し板挟みになる状況下で、まず相手の意向を受け入れるというYesの前提で詳細な計画をたてた後、「気づき」という形で、自分の主張の正当性をほのめかす

ことを実践した結果、次の3つの劇的な効果を得ました。

  • 相手が決して気分を害することなく、納得したうえで、私の意に沿った要求を喜んで受け入れてくれるようになりました。
  • わたしたち現場も無理やり案件を引き受けさせられて、労働時間が増えたり、既存のプライオリティの変更などの労力を割く必要が大幅に減りました。
  • 自分の最大の才能を全開できる、チャレンジングだが高収益の旗艦プロジェクトを任される。その中で様々な人種・国籍の上司や同僚、そしてクライアントの笑顔にも囲まれ、おまけにボーナス前年比33% Up!という成果を手に入れることができました。

あなたも是非試してみてください。

最後まで読んで頂いて、ありがとうございました。

この記事を書いた人
濱嶌 芳行

15年以上に及ぶ外資系投資銀行の債券トレーダーとしての実戦経験を経て、2014年英国ロンドンに移住。現在米系フィンテック企業で、AIを駆使したアルゴリズム・トレーディングを専門とするデータ・サイエンティストとして活躍中。

2018年に虎の穴に参加して以来、「トレーダー思考」を、データ分析および、顧客のコンサルティング能力の向上、さらには子育てのコミュニケーション改善などの日常生活全般にも応用し、飛躍的な進化を体験中。

趣味は料理と自然に触れること。映画トップガンに心酔し、過去に本気で戦闘機パイロットを目指したことも。将来ジェット機を操縦し、世界一周するのが夢。

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