大好きな人との別れ…
悲しい言葉や仕打ち…
生きていれば辛い出来事に遭遇することがあります。
そんな時、あなたはどう対処していますか?
どんな方法が心の傷を早く治すのに効果的だと思いますか?
私の場合「仕事や勉強に一心不乱に打ち込む」がお決まりのパターンでした。
だけどその対処法だと臭い物に蓋をするだけで、表面上は治ったように見えても中はジュクジュクのまま。知らないうちに化膿していて、自分も周りも傷つける結果を招いてきました。
そんな私ですが、ある方法を試した結果、長年抱えていた心の傷が癒え、生きる世界がまるきり違ったように感じる体験をしました。今日はそのことについてお話したいと思います。
- 何かの拍子に昔の嫌な出来事を思い出し心がギュッと苦しくなる
- 悲しい過去を引きずったまま生きている
- どうしても許せない人がいる
こんな人は、ぜひお読み下さい。心の傷を癒し、その先に見えてくる全く新しい「現実」に出会うきっかけになるかもしれません。
まさか妊娠を機に悲しみのドン底に落ちるなんて
嬉しい知らせ
結婚しても夫と一緒に住めないことが寂しくて、毎日泣き暮れていた時。
「大丈夫側にいるから」とでもいうように、お腹の中に新しい命が宿りました。
7年以上も無月経で、多嚢胞性卵胞症候群という不妊の原因となる病気を抱えていた私にとっては奇跡のような嬉しい出来事でした。
でも、喜んでいたのは私だけでした。
広がる悲しみ
夫に報告すると「そんな話、聞きたくない!」と怒って単身赴任先に帰ってしまう始末。母からも「入籍したとはいえ、挙式前に…」と顔をしかめられました。
追い打ちをかけるように職場でも、妊娠して体調を崩して休んだのを機に花形のポジションから単調な事務作業に配置転換になりました。
一緒に温かい家庭を築き上げていく予定だった大好きな夫からの拒絶。
どんな時も自分の味方でいてくれると思っていた母からの拒絶。
「使えないお前に居場所なんてない」と感じるような職場からの拒絶。
誰も妊娠を喜んでくれない。
誰も妊娠した私を受け入れてくれない。
喜びから一点、私は生きる居場所を失ったような深い悲しみの中に1人佇んでいました。
でも、悲しみに暮れてウジウジしてても仕方がないので、我が子を守れる強い母になろうと思い直し、無理やり前を向いて生きることを選択しました。
いろいろな思いを押し殺し、抑圧してしまったわけです。
「1人でできるもん!」がもたらした悲劇
頑張ってるのにうまくいかない
「誰も助けてくれなくたって、1人でちゃんと子どもを育ててみせる!」
その決意を持って生きて行かなければならない世界は、とても苦しいものでした。
「以前と同じように仕事をこなせることを証明し続けないと、キャリアが絶たれる。そしたら誰も子どもと私を守ってくれないから、生きていけない」
それ以降、恐怖から逃れるために必死で働く日々が始まりました。
出産3ヶ月後には、昇級試験のためにMBAの勉強を開始。
職場復帰の際は、激務だけれども出世コースのポジションに配置してもらいました。
子どもの夜泣きや急な入院での看病でフラフラになりながらも「こんなことで休んだらダメだ。また居場所がなくなる」と思い、身体に鞭を打って仕事に行く毎日。
必死に仕事をこなして、息をつく間もなく、業務時間外は仕事の勉強と乳児のお世話に奮闘する日々。
心と体はボロボロになっていきました。
毎週高熱にうなされ、点滴に繋がれるほどまで体調は悪化。常にイライラ・カリカリしていて、離婚危機に発展するほど心の状態も悪化していました。
頑張っているのに、どんどん健康と心の平安が失われていく…。
まさに生き地獄でした。
悲しみを押し殺した人の末路
今思うと、それは妊娠報告に端を発するものでした。
もちろん当時の私は、あの時感じた深い悲しみと鋭い痛みを葬り去ったつもりでいました。
だけど、私の心は忘れていませんでした。
「誰からも受け入れてもらえず、この世に居場所がないという感覚をまた味わうことになったらどうしよう?」
という恐怖が心の中では渦巻いていました。
だからこそ
「二度とそんな思いをしないように、役に立つ人間でいないと」
というプレッシャーと日々闘っていました。昇級試験の勉強も、どんな状況でも仕事をする姿勢も全部、二度と傷つかないための行動だったのです。
だけど傷つかないために闘えば闘うほど、逆に心も身体もボロボロになっていく有様でした。
とはいえ当時は、どうしてそうなってしまうのか分かりませんでした。心の傷に蓋をして「強くあろう」と強く思っていた私には、心の傷が目の前の苦しみを生み出しているという事実が見えなかったのです。
そして、その事実が認識できるようになったのは、傷を負って6年以上もたった最近のことでした。
心の傷に気づいたら
心の傷に終止符を
きっかけは、友人との会話でした。
お姑さんとの問題で悩んでいた時に、夫から放たれた一言で「何があっても一緒に乗りこえていけると信じていた夫からコミュニケーションを遮断され、生きる居場所がなくなった気がした」と涙ながらに語る友人を見た瞬間、突如として6年前の出来事がフラッシュバックしました。
同時に、6年前の出来事を境に「このままだと私と子どもが生きる場所はない。だから強く生きないと」と思うようになり、それをベースに生きてきたことに気づきました。
「悲運に負けず、子どもを守るために必死で生きる母の姿に感動!」
もし自分の人生が本になったとしたら、こんな帯がつきそうな人生をあの日以来、自ら選んで歩んできていたのです。
「賞賛されても嬉しくない。こういう人生じゃない方がいい」
そう感じた私は、心の傷を治して悲劇のヒロインのような生き方に終止符を打つことに決めました。
心の傷の癒し方
そう決意した翌日、たまたまライフコーチであるタナカミノルさんから一通のメールが届きました。内容は奇遇にも「失恋を機に心に痛手を負ったある男性が再起するまでのストーリー」でした。
それは、心の傷が癒えるまでの行動や心情が日付順に具に描かれている実話でした。
おかげで具体的なイメージを掴めた私は、早速、タナカミノルさんのコーチング音声に登場する「色眼鏡のディープクレンジング」という方法に沿って心の傷を癒すことにしました。
この方法の特徴は「過去に抑圧した感情を改めて感じきる」という点です。
この「とにかく感情を感じきる」という心の傷を癒すポイントを踏まえ、当時押し殺してしまった感情に触れにいきました。
大好きな人達から拒絶された深い悲しみ。
自分の居場所がどこにもなくなってしまったという絶望感。
堰を切ったように感情が溢れ出てきて、嗚咽が止まらず2〜3日布団にこもって泣き続ける日々が続きました。
「もう永遠に立ち直れないんじゃないか」、「涙は枯れることはないんじゃないか」と思うほどでした。
傷を癒した先にあったもの
変わる「過去」
でも2〜3日後には涙は枯れ、スッキリとした気持ちになりました。
と同時に、なぜか当時の夫の気持ちを冷静に心で感じられるようになりました。
「夫も不安だったんだな。仕事が楽しくなってきた状況で、父親になったと告げられて。だから咄嗟に出た言葉が、逃げる言葉だったのかも。私を拒絶した訳ではなかったのかも」
とふと感じました。
もちろんそれまでも夫の気持ちを理解しようと努めていました。だけど、頭では想像できても心では「許せない」という気持ちがぬぐえずにいました。ですが、その気持ちがふっと消えたのです。
すると、今まで忘れていたシーンが次々と頭に浮かんできました。
- 初めて娘を抱っこした瞬間に「ありがとう」と嬉しそうに笑った夫の顔
- 悪阻がひどくて入院した際に、単身赴任先からすっ飛んで来てくれ、心配そうに私を見つめていた夫のまなざし
- 危険な状況に陥った時「子どもより私の命を」と医者に言った夫と母の言葉
当時はそういった夫と母の言動に対して、「子どもなんて、母になった私なんていらないんでしょ」と感じていたのが、今は「あぁ、私に生きてて欲しかったから発した言葉なんだ」という解釈に変わりました。
さらに、上司が業務内容を変更したことについても「私が使えなくなった」からではなく、「たとえ以前のように長時間ストレスがかかる仕事ができなくても、ここにいて大丈夫なんだよ」ということを示すためだったのかもと感じるようになりました。
解けていく心
「たとえ弱くて何もできない私であっても、周りは私を受け入れてくれていたんだ…。」
「頑張らないと見放される。なんてことはなかったんだ。」
「1人で何とかしないとなんて思わず、周りを信頼してもっと頼れば良かったんだ。」
こう感じた瞬間、恐怖とプレッシャーでガチガチに凍っていた心は解け、穏やかな温かさが戻ってきました。
と同時に「働かなくては…」という不安や焦燥感が消え、肩の力がストンと抜けました。その途端、すごく重たい力が自分にのしかかっていたということに初めて気づきました。
そして、今まで取っていた大半の行動が取れなくなりました。自覚はなかったものの、今まで取っていた行動のほとんどは不安や恐怖から逃れるためのものでした。なので、それらが小さくなってしまうと、その行動をする必要性がなくなってしまったのです。
新たな始まり
心を癒し、冷たく冷え切った氷のような世界から温かい世界へと戻ってきて、初めにしたことはおはぎ作りでした。
朝から一生懸命、嬉しそうにおはぎ作りに勤しむ私が目撃したのは、この数年間見たこともない優しそうなまなざしで私を見つめる夫の姿でした。
「勝手に1人で怒って、1人で頑張って、苦しんでいただけだったんだな。もしかしたらそれを見守るしかできなかったこの人の方が苦しかったのかもしれない。」
そう感じました。
この体験から学んだこと
「傷ついた」という気持ちは本物です。ただ、傷ついた原因である「出来事に対する解釈」は、もしかしたら勘違いかもしれません。心が傷だらけのうちは見えないだけで、傷を癒せば全く新しい解釈が見えて来るかもしれません。
そうだとしたら、あなたはこれからどうしますか?
あなたの抱える傷が癒え、あなたを大切に想う人の苦しみが消えるきっかけになれば嬉しいです。